夜舟

文章書く練習ではじめました。

プライドと偏見

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18世紀、女性に相続権がない時代のイギリス。女の幸せは豊かな財政の男性と結婚すること・・・。貧しくはないけれど、大金持ちでもないベネット家では、5人の娘たちが白馬にまたがったリッチな王子様を探しており、隣に越してきた金持ち・ビングリーの噂でもちきりだった。読書好きの次女エリザベスは、ダンスパーティービングリーの親友・ダーシーの高慢な態度に腹をたてるが、ダーシーも彼女の聡明さと金持ちへの偏見に苛立ちを覚える。いつしか互いが気になる二人だが、誤解は解けないまま。やっと少し打ち解けるきっかけが掴めた二人だが、その頃、ベネット家の末娘の身に大事件が起こっていた! (原作 - Pride & Prejudice)

 ジョー・ライト×キーラ・ナイトレイといえば「つぐない(原題:atonement)」。この作品でこのコンビの虜になり、ずっと観たいと思っていた映画だった。アクションやサスペンスは結構ガヤガヤした騒がしいところとか、家の中を移動しながらとか、スマホで見ることができるけれど、この作品のように雰囲気を楽しむ要素が大きい映画はやっぱり落ち着いて横になりながら静かなところで視聴したいので、なかなか生活に余裕があるときしか勇気が出ない…。本当ならば映画館で観たい。小さな画面だったのが惜しかったけれど、充分楽しめるいい作品だった。

↑「つぐない」の名シーン

 ちょっとつぐないとも比較すると、キーラの表情が豊かなのが印象的だった。ダンスのシーン、姉妹たちとはしゃぐシーン、ダーシーに心をひらいていくシーン、どれをとっても本当に素敵で華やか。姉のジェインも確かに美人だけれど、やっぱり私はキーラ演じるエリザベスが最も綺麗だと思った。色々な系統の顔の女性が大勢画面の中に映っていても目を引く、特徴的で魅力的な顔立ちだと感じる。(あまり多くは登場しなかったが、ビングリーの妹さんも嫌な役特有の美しさがあったと思う。褒めています…)

 あとは、映画を盛り上げるキャラクターの性格の配分が良かった。嫌な役が多すぎても、騒々しい役が多すぎても、逆に静かであまり感情を表に出さない役が多すぎても、映画の中の雰囲気が壊れてしまうと思う。しかしこの作品は(この時代ならではだと思うが)母親の結婚のことしか考えていない傍若無人さ、姉妹の末の二人の騒がしさ、そしてエリザベスの芯のあるはつらつとした性格、ダーシーの落ち着きと何を考えているかがはっきりわからない性格がうまくマッチして、全体を通してのストーリーの面白さをより際立たせている。さすがはこの時代の婦人に受けた作品だと思う。(原作から大きく変わっているのかどうかは別として)

 ちょっと惜しいなと思ったのは、心情描写についてだった。ダーシーがエリザベスのどこに惹かれたのかがいまいち私には伝わってこなかった。エリザベスのはっきりとした性格が魅力的なのは観ている人には伝わったが、ダーシーが具体的にどんな場面を境に好意を抱くようになったのかがわからない。きっと小説を読めばわかると思うのだが、この映画単体で『Pride and Prejudice』の雰囲気を感じることはできても、中身をすべて楽しむことはちょっと難しいと思う。

 映像はもうどう表したら良いのかわからないほどに素敵で、私の好みだった。全体のザラッとした感じも、余白の取り方も、小物のセンスまで惚れ惚れするほど美しい。どこをとっても絵にできそう。

↑キーラのこんな可愛らしい表情は初めて観た

 ぜひもう一度映画館で上映して欲しい作品。大きなスクリーンで、静かなところで観たらもっと素敵だろうな。